ElevenLabs vs Fish Audio 徹底比較|音声品質・料金・日本語対応・APIはどっちがいい?

最終更新日: 2026年7月23日

ElevenLabsとFish Audioを音声品質・ボイスクローン・感情表現・料金・API・日本語対応の観点から公平に比較。用途別・悩み別にどちらを選ぶべきかをまとめます

詳細比較

こんにちは、Hodaです。

ElevenLabsはAI音声合成ツールの中でも長らく「音声品質の基準」とされてきましたが、ここ最近、Fish Audioが「ElevenLabsのブラインドテストで60%の勝率」を公表し、注目を集めています。

どちらもすでに個別レビューを書きましたが、今回は「どちらを使えばいいのか」という疑問に直接答える比較記事としてまとめます。明らかにどちらかが優れている点はそう書きます。接戦の項目については公平に評価します。


2つのツールの基本的な立ち位置

まず前提として、両ツールのコンセプトを整理しておきます。

ElevenLabsは2022年創業。「人間と区別がつかないレベル」の音声生成を目標に掲げ、映画・ポッドキャスト・ゲーム・オーディオブックといったクリエイティブ用途を中心に発展してきたプラットフォームです。音声品質の精度において長らく業界標準とみなされています。

Elevenlabs
Elevenlabs

Fish Audioは Hanabi AI Inc. が開発。自社開発のS2モデル(最新はS2.1 Pro)を中核に、テキスト読み上げ・ボイスクローン・音声認識・音声翻訳・音声分離をカバーします。

Fish Audio 公式サイト
Fish Audio 公式サイト

日本語を含む多言語への強い対応と、感情タグによるきめ細かな表現制御を強みとしています。コミュニティボイスライブラリは200万種類以上と業界最大規模です。


機能比較:一覧表

機能 ElevenLabs Fish Audio
テキスト読み上げ(TTS)
音声の自然さ(総合) ◎(8.9/10) ○(8.7/10)
感情表現の細かさ ○(スライダー・スタイル調整) ◎(64種類以上の感情タグ)
ボイスクローン ◎(10秒〜、WER 2.83%) ◎(15〜30秒〜)
クロスリンガルクローン ◎(83言語対応)
日本語音声の品質 △(品質にばらつきあり) ◎(公式で重点訴求)
対応言語数 32言語 83言語以上
ボイスライブラリ 1,200種類以上 200万種類以上
API提供
API料金 △($165/100万文字) ◎($15/100万UTF-8バイト)
レイテンシ 約75ms(Flashモデル) 約70〜90ms(S2.1 Pro)
ノイズ除去 ◎(ボイスアイソレーター搭載)
音声分離
文字起こし(STT)
動画エディター
モバイルアプリ
ブラウザ拡張
無料プラン ○(10,000文字/月) ○(7分/月・クレカ不要)
商用利用(有料プラン)

項目別の詳細比較

音声品質・自然さ

第三者評価サイト DIY AI のスコアでは、ElevenLabsが8.9/10、Fish Audioが8.7/10と、ElevenLabsがわずかに上です。

ただし「わずか」という言葉が重要です。0.2点の差は実際のコンテンツ制作において体感しにくいレベルです。

Fish Audio自身がElevenLabsとのブラインドテストを実施し、5,000件以上の比較で約60%の勝率を主張しています。テストを自社が実施しているという留保はつきますが、「圧倒的にElevenLabsが上」という状況ではなくなっています。

結論:総合的にはElevenLabsがわずかに上。ただし差は縮まっており、体感上の優劣はほぼない。


感情表現のコントロール

ここはアプローチが大きく異なります。

ElevenLabsはスライダーやスタイルプリセットで音声全体のトーンを調整します。直感的でわかりやすい反面、「この一言だけ怒った声で」という細かいコントロールには限界があります。

Fish Audioの感情タグはテキスト内にインラインで記述します。[excited]今日は特別なお知らせがあります。[whispering]実は... というように、フレーズ単位で表現を切り替えられます。用意されているタグは64種類以上で、[laughing][sobbing][panting] といった細かい表現も網羅されています。

テキスト読み上げ(TTS) - fish audio
テキスト読み上げ(TTS) - fish audio

結論:感情表現のきめ細かさはFish Audioが明確に上。スクリプト単位でなくフレーズ単位で感情を制御したい用途はFish Audio向き。


ボイスクローン

両者ともに短いサンプル音声からクローンを生成できます。

ElevenLabsは10秒程度の音声でインスタントクローンが可能で、単語誤り率(WER)は2.83%と高精度。「プロフェッショナル・ボイス・クローニング(PVC)」を使えば30分以上のデータから本人と見分けがつかないレベルのクローンを作れます。

Fish Audioは15〜30秒のサンプルが推奨されています。クローンの精度はDIY AIで8.8/10と高評価で、ElevenLabsと同水準です。加えて Fish Audio の強みはクロスリンガルクローンで、日本語で収録した声を英語・中国語・韓国語などで喋らせることができます。ElevenLabsにはこの機能が現時点では搭載されていません。

どちらも「ノイズの少ないクリーンな録音が精度の前提」という点は共通です。

結論:精度はほぼ同水準。クロスリンガルが必要ならFish Audio一択。ElevenLabsはPVCによる超高精度クローンが必要な場面で上。


日本語対応

Fish Audioは公式サイトのトップで「日本語品質No.1」を掲げており、日本語ナレーション・ラジオパーソナリティ・カスタマーサポートといった用途別のサンプルを公開しています。サイト自体も日本語化済みです。

ElevenLabsは32言語を対応言語として掲げていますが、英語以外の品質はモデルや音声の種類によってばらつきがあり、日本語は英語に比べて品質が落ちるという報告が複数あります。

結論:日本語コンテンツを作る場合は Fish Audio が有利。これは日本語ユーザーにとって大きなポイントです。


対応言語数

ElevenLabsは32言語、Fish AudioのS2.1 Proは83言語(最新情報)に対応しています。多言語コンテンツを展開する場合、カバー範囲に大きな差があります。

結論:Fish Audioが圧倒的に多言語対応。


ボイスライブラリの規模

ElevenLabsは1,200種類以上の音声ライブラリを持っています。Fish Audioはコミュニティが作成・公開した200万種類以上のモデルを検索・試聴・利用できます。キャラクターボイス・アニメ風音声・地域アクセントなど、ニッチな需要にも対応できる可能性があります。

Fish Audio
Fish Audio

ただし、コミュニティボイスは商用利用の権利が整理されていないものも混在しています。商用利用を前提とする場合は権利確認が必須です。

モデルを探す - Fish Audio
モデルを探す - Fish Audio

結論:ライブラリの規模はFish Audioが圧倒的に大きい。ただし商用利用時は権利確認が必要。


API料金

開発者・企業にとって見逃せない差があります。

ElevenLabsのAPI料金は100万文字あたり約$165。Fish AudioのTTS APIは100万UTF-8バイトあたり$15です。単位が異なるため単純比較は難しいですが(日本語は1文字≒3バイト)、英語ベースで計算すると約10倍以上の差があります。

Fish Audioは2026年6月から最上位モデル s2.1-pro-free を無料APIとして期間限定公開しており(2026年7月末まで)、開発・評価フェーズのコストはほぼゼロで済みます。

結論:APIコストはFish Audioが明確に安い。大量処理・開発用途ではFish Audioが有利。


ノイズ処理・音声クリーニング

ElevenLabsには「ボイスアイソレーター」機能が搭載されており、背景ノイズや音楽を音声から切り離すことができます。Fish Audioにはこの機能がありません(DIY AIのノイズハンドリングスコアは7.8/10)。

Fish Audioは音声分離(ボーカルと楽器を分ける)機能を持っていますが、ノイズ除去・音声クリーニングとは別の機能です。

結論:音声クリーニングが必要な用途はElevenLabsが優位。


付加機能(文字起こし・動画編集など)

Fish Audioは文字起こし(STT)・音声翻訳・音声分離・サウンドエフェクト生成を備えています。ElevenLabsには文字起こし機能がありません。

なお、動画エディター・モバイルアプリ・ブラウザ拡張はどちらも持っていません(Speechifyはこれらを備えています)。

結論:音声周辺の付加機能はFish Audioのほうが多い。


料金比較

ElevenLabsの料金(参考)

プラン 月額 文字数上限
Free $0 10,000文字/月
Starter $5 30,000文字/月
Creator $11 100,000文字/月
Pro $99 500,000文字/月
Scale $330 200万文字/月
Enterprise 要問い合わせ カスタム

Fish Audioの料金(2026年7月・円表示)

プラン 月払い 年払い(月換算) クレジット/月 生成時間目安
無料 $0 $0 8,000 最大7分
Plus ¥2,480 ¥1,817 250,000 最大200分
Pro ¥16,800 ¥12,483 2,000,000 最大1,620分
Max ¥168,000 ¥124,833 25,000,000 最大6,250分

用途別おすすめ

用途 おすすめ 理由
日本語YouTubeナレーション Fish Audio 日本語品質・感情タグ・コスト
英語ポッドキャスト・オーディオブック ElevenLabs 英語音声の仕上がりが最高水準
ゲームキャラクターボイス Fish Audio 感情タグの細かさ・ボイスライブラリの規模
映像のAIダビング・ローカライズ Fish Audio 83言語対応・クロスリンガルクローン
ボイスクローン(高精度・英語) ElevenLabs PVCによる超高精度
ボイスクローン(多言語) Fish Audio クロスリンガル対応
API経由での大量生成 Fish Audio API料金が大幅に安い
音声クリーニング・ノイズ除去 ElevenLabs ボイスアイソレーター搭載
低コストで始めたい個人 ElevenLabs Starterプラン月$5〜
商用利用で月200分以上必要 Fish Audio Plusプランで月¥1,817(年払い)
企業・ガバナンス重視 ElevenLabs プラットフォームの成熟度・実績

悩み別:どちらに乗り換えるべきか

「ElevenLabsを使っているが日本語の音質に満足できない」

Fish Audioを試す価値あり

Fish Audioは日本語音声を重点開発領域と位置づけており、日本語のサンプル品質はElevenLabsを上回ることが多いです。無料プランで試聴して比較してください。

「ElevenLabsのAPI料金が高くてスケールできない」

Fish Audio APIへの移行を検討

Fish AudioのAPIはElevenLabsの約10分の1以下のコストです。既存のAPIコールはエンドポイントとモデル名を変えるだけで移行できる構造です。

「Fish Audioを使っているが英語音声の仕上がりがもう一段ほしい」

ElevenLabsのCreatorプランを試す

英語ナレーションにおける最高品質はElevenLabsが依然優位です。月$11のCreatorプランから試せます。

「Fish Audioを使っているが録音にノイズが入ってクローン精度が悪い」

ElevenLabsのボイスアイソレーターで前処理してからFish Audioでクローン

ElevenLabsのノイズ除去機能を前処理として使い、クリーンな音声をFish Audioでクローンするという組み合わせも現実的です。


デメリットまとめ

ElevenLabsのデメリット

  • 日本語を含む英語以外の言語品質にばらつきがある
  • 感情表現がスライダー制御で、フレーズ単位の細かい制御が難しい
  • 対応言語が32と少ない
  • APIコストが高く、大量処理に向かない
  • 文字起こし・音声分離などの付加機能がない
  • モバイルアプリ・ブラウザ拡張がなく日常使いに不向き

Fish Audioのデメリット

  • 総合音声品質でElevenLabsにわずかに劣る(0.2点差)
  • ノイズ除去・音声クリーニング機能がない
  • 無料プランの生成量が7分/月と少ない
  • 商用利用にはPlusプラン以上が必要
  • コミュニティボイスの権利関係が整理されていないものが混在する
  • ElevenLabsに比べてプラットフォームとしての歴史が浅く、エンタープライズ実績に差がある

よくある質問(FAQ)

ElevenLabsとFish Audio、どちらが音声品質が良いですか? ElevenLabsが総合スコアでわずかに上(8.9 vs 8.7/10)ですが、差は小さく実用上は体感しにくいレベルです。Fish Audioは自社ブラインドテストでElevenLabsに60%の勝率を主張しています。日本語に限るとFish Audioが優位な場面が多いです。

Fish AudioはElevenLabsの代わりになりますか? 用途によります。日本語コンテンツ制作・API大量利用・多言語展開・感情タグによる細かい表現制御が必要な場合は、Fish AudioはElevenLabsの実用的な代替になります。英語音声の最高品質・ノイズ除去・PVCクローンを求める場合はElevenLabsに分があります。

両方の無料プランを試せますか? はい。ElevenLabsは月10,000文字まで無料(クレジットカード情報が必要な場合あり)、Fish Audioはクレジットカード不要で月7分まで無料で試せます。

APIコストの差は実際にどのくらいですか? 英語テキストで大まかに比較すると、ElevenLabsが100万文字あたり約$165、Fish Audioが同程度のテキストで$15前後という目安です。月に数十万文字処理する場合、数万円単位の差が生まれます。


まとめ

ElevenLabsとFish Audioは、どちらが「絶対に優れている」とは言い切れない接戦状態にあります。ただし、日本語クリエイターの立場で見ると、Fish Audioのほうが有利な点が多く積み上がっています。

日本語音声の品質・感情タグの細かさ・多言語クローン・APIコストの安さ、これらが揃っていて、かつ無料プランがクレジットカード不要で試せる。日本語でコンテンツを作っているYouTuber・ポッドキャスター・開発者にとっては、少なくとも「試してみる理由」が十分にあるツールです。

英語コンテンツ中心の方や、ElevenLabsのエコシステム(ノイズ除去・PVCクローン・既存インテグレーション)を積極的に活用している方は、ElevenLabsをメインに据えたまま Fish Audioを補助的に使うというアプローチも現実的です。