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2026年10月7日—WooCommerce 11.2が公開され、チェックアウトの日付項目などが追加されました
WooCommerce 11.2.0 が2026年10月7日にリリースされました。当初は10月6日の公開が予定されていましたが、追加のセキュリティ更新を盛り込むため、リリースが1日延期されています。
今回のアップデートでは、商品CSVインポーターの照合ルール改善、チェックアウトブロックでの日付入力、EU向けの注文撤回メールの設定、ブロックのスタイル拡張などが追加されました。あわせて複数のセキュリティ修正とデータベース更新も含まれているため、アップデート前の準備が欠かせません。
この記事では、公式のリリースノート・プレリリースノートと、ストア運営者向けの解説記事をもとに、WooCommerce 11.2 の変更点をストア運営者の視点で整理します。
この記事の要点
- 商品CSVインポーターが、IDとSKUがなくても GTIN・UPC・EAN・ISBN で既存商品と照合できるようになった
- Checkoutブロックで、配送希望日や誕生日などの日付を入力してもらえるようになった(追加にはコードスニペットが必要)
- EU向けの販売で使う注文撤回(withdrawal)メールを、管理画面から設定できるようになった
- 商品の並べ替え、バリエーション商品を扱うストア、レポート集計まわりが高速化された
- パスワードリセットなど3種類のアカウントメールで CC/BCC が使えなくなるなど、セキュリティ強化に伴う挙動変更がある
- データベース更新あり。更新前にバックアップを取ること
- PublishPress Future 3.0.0〜4.10.3 を使っている場合は、先に 4.10.4 以降へ更新すること
WooCommerce 11.2.0 のリリース概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リリース日 | 2026年10月7日 |
| 後方互換性 | あり |
| データベース更新 | あり |
| 取り込まれたPR数 | 642 |
| コントリビューター数 | 93人 |
公式のリリースノートでは、ハイライトとして「CSVインポーターの更新」「Additional Checkout APIの日付フィールド対応」「マルチサイト管理画面などのセキュリティ更新」の3点が挙げられています。
商品CSVインポーターがGTIN・UPC・EAN・ISBNで照合できるように
「既存商品を更新する(Update existing products)」をオンにして商品CSVをインポートするとき、これまでは商品IDまたはSKUで既存商品と照合していました。WooCommerce 11.2 からは、IDもSKUもない行でも、GTIN・UPC・EAN・ISBN(グローバル一意ID)で照合できます。
たとえば、仕入先から届いた価格表にバーコード番号しか載っていない場合でも、そのままインポートして価格や在庫を更新できる、というのが今回の改善の狙いです。
照合のルール
照合は次の順番で行われます。
- 商品ID
- SKU
- グローバル一意ID(GTIN・UPC・EAN・ISBN)
注意したい挙動は2つあります。
- 識別子が入力されているのに、どの商品にも一致しない行は、新規作成されずスキップされます。 「一致しなければ新規商品として作る」動きにはなりません。
- 照合した商品と商品タイプが異なる場合は、更新が拒否されます。 インポートによって、シンプル商品がバリエーション商品に変わるといったことは起きません。
インポート後のクリーンアップ処理も改善
インポート後のクリーンアップ処理も見直されました。これまでは、バリエーション・投稿メタ・タームの関連付けについて、サイト全体を対象にした「孤立データの削除」が走っていました。この処理は、商品数が多いストアでは小さなインポートでも1分以上余計にかかることがあり、無関係なデータまで削除してしまう可能性もあったとされています。
11.2 からは、そのインポートで作られた一時的なプレースホルダー商品だけを削除する形になりました。
チェックアウトに日付フィールドを追加できる
Additional Checkout Fields API が日付フィールドに対応しました。Checkoutブロックを使っているストアでは、チェックアウト時に次のような情報を入力してもらえます。
- 配送希望日
- 誕生日
日付フィールドの仕様
- 日付の入力には、スマートフォンやブラウザ標準の日付ピッカーが使われる
- 買い物客は、自分のブラウザのロケールに合わせた形式で日付を入力する
- メールや注文詳細では、サイトの日付形式で日付が表示される
- 選べる日付は、固定の範囲や「今日からの相対期間」で制限できる(例:翌日から30日先まで)
- 日付の制限は、Checkoutブロックと「マイアカウント」のフォームの両方に適用される
フィールドの追加は管理画面の設定ではなく、短いコードスニペットで行う方式です。また、対象はCheckoutブロックを使っているストアです。
日付フィールドに関しては、API側にも min / max オプションの追加や、JSON Schemaを使ったバリデーションへの対応が入っています。
注文撤回(withdrawal)メールを設定できる
EUの消費者向けに販売しているストア向けの機能です。顧客が注文の撤回を申請すると、次の2通のメールが送られます。
- 顧客に届ける受付確認メール
- ストア側に届く通知メール
11.2 からは、この2通を WooCommerce > 設定 > メール(WooCommerce > Settings > Emails) で管理できます。
- 追加メッセージ(追加コンテンツ)の入力
- プレビューの確認
- 通知を受け取る人(受信者)の指定
- 各メールのオン・オフ
日本国内向けだけにストアを運営している場合は、基本的に関係のない機能です。EU圏へ販売している場合に、ブランドや運用に合わせて文面や受信者を調整できます。
カタログ・管理画面が高速化
パフォーマンス面では、次の改善が入っています。
- 商品の並べ替え:カタログの大きさに関係なく、同じ時間で完了するようになりました。商品数が数点のストアから5万点規模のストアまで、並べ替えが現実的に使えます
- バリエーション商品を扱うストア:価格のトランジェントが際限なく増えなくなり、チェックアウト時の商品保存で無駄なキャッシュクリアが走らなくなったため、ページ表示とチェックアウトが速くなります
- レポート集計:集計時のデータベースクエリが減り、メモリ使用量が顧客数に比例して増えなくなりました
ブロックのスタイルオプションが拡充
いくつかのブロックで、デザインの調整項目が増えました。
商品フィルターを固定表示(スティッキー)できる
Product Filters ブロックでスティッキー配置を有効にすると、長いカテゴリーページをスクロールしてもフィルターが画面内に残ります。絞り込みのたびにページ上部へ戻る必要がなくなります。
追加されたスタイル項目
| ブロック | 追加されたスタイル |
|---|---|
| 数量セレクター(カートのものを含む) | 枠線、シャドウ、文字色・背景色、角丸 |
| 商品画像(Product Image) | 枠線 |
| フィルターのチップ(Chips) | フォント(タイポグラフィ)、余白、角丸 |
これらは、外観 > エディター > スタイル > ブロック(Appearance > Editor > Styles > Blocks) でストア全体に一括設定できます。各ブロックごとに個別に調整することも可能です。テーマ側がこれらのスタイルを使ってデザインをカスタマイズすることもできます。
セキュリティ更新と、アップデート後に変わる点
WooCommerce 11.2 にはセキュリティ修正が含まれており、公式はすべてのストアを 11.2 に更新するよう案内しています。セキュリティ強化に伴って、アップデート後に挙動が変わる点があります。
| 項目 | 変更内容 | 影響を受けるケース |
|---|---|---|
| メールの CC/BCC | パスワードリセット、新規アカウント、メールアドレス確認の3メールでは、CC/BCCを設定できなくなった | これらのメールを自分にもCC/BCCで受け取っていた場合 |
| ダウンロードリンク | 注文情報やメールアドレスの形式が不正な認証情報を、権限確認の前に拒否するようになった | まれに、カスタムまたはインポートされたリンクが使えなくなる場合 |
| ショップマネージャーの権限 | 他の特定ロールも持つユーザーを、ショップマネージャーが編集できなくなった | bbPress や Ultimate Member などのロールを併せ持つユーザーがいる場合 |
| Blueprint(マルチサイト) | マルチサイトでは、Blueprintのインポートにネットワークのスーパー管理者権限が必要になった | マルチサイト環境(単一サイトのストアは影響なし) |
| 使用状況トラッキング | オプトインしているサイトで、機密情報が送信データに含まれていないか確認するようになった | トラッキングを有効にしている場合 |
アカウントメールの CC/BCC
この3種類のメールには、パスワードリセットや本人確認用のリンクが含まれます。そのため、顧客本人にだけ届くように変更されました。以前に保存したCC/BCCアドレスは無視されます。公式のリリースノートによると、「入荷通知(Back in Stock)」の確認メールにも同じ変更が入っています。
また、この3つのメールのCC/BCC設定は、REST APIの設定エンドポイントでも公開されなくなりました。連携のためにコピーが必要な開発者は、woocommerce_email_cc_recipient_{email_id} と woocommerce_email_bcc_recipient_{email_id} のフィルターで追加できます。
ダウンロードリンク
標準のダウンロードリンクは、これまでどおり使えます。もしお客様から「ダウンロードできない」という連絡があった場合は、次のいずれかで対処します。
- 注文からリンクを再発行する
- 権限レコードを修正する
- 注文の請求先メールアドレスを修正し、権限を再生成する(再生成するとダウンロード回数とログがリセットされます)
ショップマネージャーの権限
ショップマネージャーが編集できなくなるのは、woocommerce_shop_manager_editable_roles に含まれないロールを併せ持つユーザーです。管理者は従来どおり編集でき、サイト側でフィルターを使ってロールを追加することもできます。
アップデート前に確認したい注意事項
PublishPress Future を使っている場合
PublishPress Future 3.0.0〜4.10.3 は、WooCommerce 11.2 の環境で致命的エラー(fatal error)を起こす場合があります。WooCommerce に同梱されている Action Scheduler ではなく、古い独自コピーを読み込んでしまうためです。PublishPress 側は 4.10.4 で修正済みなので、先にPublishPress Futureを更新してからWooCommerceを更新してください。
入荷通知(Back in Stock Notifications)はまだ実験的
公式は、入荷通知機能は引き続き実験的な扱いであることを明記しています。改善は WooCommerce 11.3 に向けて進められています。
開発者・制作会社向けの主な変更点
ストア運営者が直接触ることは少ないものの、制作会社や開発者に共有しておきたい変更を抜粋します。全一覧は公式のプレリリースノートを確認してください。
挙動が変わる主なもの
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日付フィルター | wc_get_orders() と wc_get_products() で、2026-07-20 のような日付文字列を、UTCではなく店舗のタイムゾーンの1日として扱う。商品クエリは全ストアで変わり、注文クエリは注文を投稿として保持しているストアのみ変わる |
| 実験機能の削除 | 初期状態でオフだった、放棄カート回復と Agentic Checkout の実験的APIを削除(wc/agentic/v1 に代替エンドポイントなし)。DB更新で、待機中のリカバリーアクションのキャンセルと wc_email_unsubscribes テーブルの削除が行われる |
| 逐次クーポン | 逐次割引が有効なとき、優先度と品目数の上限が同じクーポンは、金額の小さい順ではなく顧客が入力した順に適用される。カート合計が変わる可能性がある |
| 注文編集画面 | 管理画面の注文編集で、マイナスの数量を受け付けなくなった。woocommerce_quantity_input_min_admin に空文字を返して最小値を外す方法は使えず、数値の下限を返す必要がある |
| Cart / Checkout ブロックのレイアウト | 注文サマリー列が固定幅の 360px(従来は35%)になり、2カラムに切り替わる幅が 700px から 920px に変更。パーセント指定や700pxのメディアクエリに依存したカスタムCSSは崩れる可能性がある |
| Blueprint のエクスポート | 決済設定がエクスポート対象から外れた。プロビジョニングの自動化では、インポート後に手動で決済ゲートウェイを設定する手順が必要 |
| クーポンの最小・最大利用額 | 最小額が保存済みの最大額より大きい場合に WC_Data_Exception を投げる。REST API(wc/v2、wc/v3)は400を返す。両方を設定するときは set_props() で一度に設定する |
| クラシックテーマの商品メタ | カテゴリー表示が「親カテゴリー → 子カテゴリー」の順になる(例:「Electronics, Cameras」)。woocommerce_product_meta_category_orderby フィルターで元の順序に戻せる |
API の変更(抜粋)
- Additional Checkout Fields API:
dateフィールドタイプの追加、min・maxオプションの追加、JSON Schemaによるバリデーションへの対応 - Store API:カートアイテムの数量を検証する新フィルター
woocommerce_store_api_cart_item_quantity_validationを追加。レート制限を超えたときは400ではなくHTTP 429を返す - REST API:ログインしていないときの返金を、ユーザーID 1に紐づけないよう修正。ユーザーエンドポイントの
is_super_adminとwoocommerce_metaは編集コンテキストに限定。Analytics の顧客レポートに請求先・配送先の電話番号の列を追加
データベース更新の内容
WooCommerce 11.2 には、次の8つのデータベース更新処理が含まれています。必ずバックアップを取ってから更新してください。
wc_update_11201_invalidate_analytics_reports_cache
wc_update_11201_migrate_tax_lookup_order_items
wc_update_11202_reset_refund_returning_customer_markers
wc_update_11203_normalize_stock_notification_emails
wc_update_1120_cleanup_inherited_variation_images
wc_update_1120_delete_surface_cart_checkout_note
wc_update_1120_migrate_stock_notifications_alpha_constant
wc_update_1120_remove_abandoned_cart_recovery
公式のプレリリースノートによると、実験的な放棄カート回復機能の削除に伴い、11.2のデータベース更新で、待機中のリカバリーアクションのキャンセルと wc_email_unsubscribes テーブルの削除が行われます。
アップデートの手順
- バックアップを取る(データベース更新を含むため必須)
- PublishPress Future を使っている場合は、4.10.4以降に更新する
- 可能であればステージング環境で、チェックアウト・メール・ダウンロード商品を確認する
- WooCommerceを更新する(管理画面のプラグイン更新、または公式のZIPから)
- 更新後に、アカウントメールやダウンロードリンク、カート・チェックアウトの表示を確認する
よくある質問
WooCommerce 11.2 へのアップデートは必須ですか?
セキュリティ修正が含まれているため、公式はすべてのストアを 11.2 に更新することを案内しています。更新前にバックアップを取り、PublishPress Future など互換性に注意が必要なプラグインを確認してください。
日本のストアにも関係がありますか?
CSVインポーターの改善、Checkoutブロックの日付フィールド、パフォーマンス改善、ブロックのスタイル拡張、セキュリティ更新は、国内向けのストアにも関係します。一方で、注文撤回メールはEU向けに販売している場合の機能なので、国内のみの運営であれば基本的に影響しません。
チェックアウトの日付フィールドは管理画面から追加できますか?
できません。追加には短いコードスニペットが必要です。なお、Checkoutブロックを使っているストアが対象です。
まとめ|WooCommerce 11.2 のメリットと注意点
WooCommerce 11.2 は、インポート作業の効率化やチェックアウトの拡張性、パフォーマンス改善といった「運用が楽になる」変更と、セキュリティ強化に伴う「挙動が変わる」変更が混在したアップデートです。
仕入先リストなど、バーコード番号だけのCSVでも既存商品を更新できる
Checkoutブロックで、配送希望日や誕生日などの日付を取得できる
大規模カタログでも、商品の並べ替えやレポート集計が軽くなる
数量セレクターや商品フィルターなど、ブロックのデザイン調整の自由度が上がる
セキュリティ修正が含まれている
データベース更新があるため、バックアップが必須
日付フィールドの追加にはコードが必要
アカウントメールのCC/BCC、ダウンロードリンク、ショップマネージャーの権限など、挙動が変わる点がある
PublishPress Future 3.0.0〜4.10.3 とは互換性の問題があるため、先に更新が必要
Cart / Checkout ブロックを対象にしたカスタムCSSは、レイアウト変更で崩れる可能性がある
アップデートを後回しにせず、バックアップ・プラグインの互換性確認・ステージングでの動作確認の3点を押さえたうえで、早めに 11.2 へ更新しておくのがおすすめです。





