Wispr FlowのSnippets(スニペット) は、あらかじめ登録した定型文を、特定のフレーズを話すだけで入力できる機能です。
たとえば、住所を毎回入力する代わりに「マイアドレス」と話すと、登録しておいた住所全体を自動的に挿入できます。
メール署名、オンライン会議のURL、よく使う返信文、会社情報など、繰り返し入力する文章を登録しておくことで、音声入力をさらに効率化できます。
Snippetsは、Mac、Windows、iOS版のWispr Flowで利用できます。現時点ではAndroid版には対応していません。
Wispr FlowのSnippetsとは?
Snippetsは、短いトリガーフレーズと、それに対応する文章をセットで登録する機能です。

たとえば、次のように設定します。
トリガー:マイアドレス
展開される文章:
東京都〇〇区〇〇1丁目2番3号
音声入力中に「マイアドレス」と話すと、その部分が登録済みの住所に置き換えられます。
Snippetsに登録できる内容は、住所のような短い情報だけではありません。複数行のメール署名や定型返信など、比較的長い文章も登録できます。
主に次のような用途に向いています。
- メール署名
- 自宅や会社の住所
- メールアドレス
- 電話番号
- Zoomなどの会議URL
- よく使う問い合わせ返信
- 免責事項
- 社内で使用する定型文
- AIツールで使用するプロンプト
Snippetの仕組み
Snippetには、次の2つの項目を登録します。
Trigger
Triggerは、定型文を呼び出すために実際に話すフレーズです。
たとえば、次のようなフレーズを設定します。
マイメール署名
Expansion
Expansionは、トリガーを話したときに実際に挿入される文章です。
Hoda
Web: https://example.com
Email: contact@example.com
音声入力中に「マイメール署名」と話すと、その部分が登録した署名全体に置き換えられます。
Mac・WindowsでSnippetを作成する方法
MacまたはWindows版では、次の手順でSnippetを作成できます。
- Wispr Flowアプリを開く
- 左側メニューの「Snippets」をクリックする
- 「Add new」をクリックする
- 「Snippet」に呼び出し用のトリガーを入力する
- 「Expansion」に挿入したい文章を入力する
- 「Add snippet」をクリックする
キーボードショートカットでも保存できます。
Macの場合は、次のキーを押します。
Command + Enter
Windowsの場合は、次のキーを押します。
Ctrl + Enter
作成したSnippetは、Snippetsの一覧に表示されます。
デスクトップ版では、トリガーは最大60文字、展開する文章は最大4,000文字まで登録できます。
iOSでSnippetを作成する方法
iPhoneやiPadでは、次の手順で作成します。
- Wispr Flowアプリを開く
- 「Snippets」タブを開く
- 画面上の「+」ボタンをタップする
- トリガーフレーズを入力する
- 挿入したい文章を入力する
- 「Save」をタップする
保存したSnippetは、Snippetsの一覧に追加されます。
最初から登録されているSnippet
Wispr Flowには、いくつかのSnippetが初期状態で登録されている場合があります。
主な例として、次のようなものがあります。
- 考えを整理するためのプロンプト
- 登録済みのメールアドレス
- Wispr Flowの紹介リンク
利用できる初期Snippetは、アカウントに登録されている情報によって異なります。
これらのSnippetは自由に編集・削除できます。一度削除した初期Snippetが、自動的に復元されることはありません。
Snippetを使用する方法
Snippetを使う際に、特別なモードへ切り替える必要はありません。
通常どおり音声入力を開始し、文章の途中で登録したトリガーを話します。
たとえば、次のSnippetを登録しているとします。
トリガー:マイアドレス
文章:
123 Main Street, San Francisco, CA 94102
次のように話します。
荷物をマイアドレスに送ってください
Wispr Flowでは、次のように入力されます。
荷物を123 Main Street, San Francisco, CA 94102に送ってください
トリガーフレーズの部分だけが、登録した文章へ置き換えられます。
トリガーが認識される条件
Snippetのトリガーでは、大文字と小文字は区別されません。
たとえば、英語で「My Address」と登録している場合でも、「my address」と認識されればSnippetが実行されます。
ただし、展開される文章については、登録した大文字・小文字がそのまま使用されます。
文章の途中でSnippetを使用する場合、トリガーは独立した単語またはフレーズとして認識される必要があります。
トリガーの前後に句読点などが付いている場合、正常に実行されないことがあります。
一方、音声入力の内容全体がトリガーだけだった場合は、末尾にピリオドが自動追加されてもSnippetが実行されます。
Snippetを編集・削除する方法
Mac・Windowsで編集する
Snippetの横にある鉛筆アイコンをクリックします。
トリガーまたは展開する文章を変更し、「Save changes」をクリックします。
次のショートカットでも保存できます。
Mac:Command + Enter
Windows:Ctrl + Enter
Mac・Windowsで削除する
Snippetの横にある削除アイコンをクリックし、確認画面で削除を実行します。
複数のSnippetをまとめて選択する
デスクトップ版では、複数のSnippetを選択して一括操作できます。
Shiftキーを押しながらクリックすると、複数のSnippetをまとめて選択できます。
MacではCommandキー、WindowsではCtrlキーを押しながらクリックすることで、特定の行だけを選択または解除できます。
複数選択後は、表示されるツールバーから一括削除やチーム共有を行えます。
iOSで編集する
編集したいSnippetをタップし、内容を変更して「Save」をタップします。
iOSで削除する
Snippetを左へスワイプして「Delete」をタップします。
または、Snippetを長押しして表示されるメニューから「Delete」を選択します。
削除前には確認画面が表示されます。
Snippetを検索する
Snippetの数が増えた場合は、検索機能を使って目的の項目を探せます。

検索対象には、トリガーフレーズだけでなく、展開される文章も含まれます。
デスクトップ版では、次のショートカットで検索欄を開けます。
Mac:Command + F
Windows:Ctrl + F
新しいSnippetを作成する場合は、次のショートカットも使用できます。
Mac:Command + N
Windows:Ctrl + N
Snippetを並べ替える
デスクトップ版では、上下矢印の並べ替えアイコンから、Snippetの表示順を変更できます。
選択できる並べ替え方法は次のとおりです。
- Newest first
- Oldest first
- Alphabetical
新しい順、古い順、アルファベット順から選択できます。
Snippetをフィルターする
Snippetは、所有者や共有範囲によって絞り込めます。
個人利用の場合は、主に次のタブが表示されます。
- All
- Personal
チームプランでは、チーム共有の項目も表示されます。
デスクトップ版では「Shared with team」、iOSでは「Team」と表示されます。
検索条件やフィルターに一致するSnippetがない場合は、該当する項目がないことを示すメッセージが表示されます。
デスクトップ版では、左右の矢印キーを使って、All、Personal、Shared with teamのタブを切り替えることもできます。
チームでSnippetを共有する
TeamまたはBusinessプランを利用している場合は、組織全体で共有するSnippetを作成できます。
共有Snippetも個人用Snippetと同じように使用できます。
メンバーが登録されたトリガーを話すと、チームで共有されている文章が挿入されます。
チーム共有に向いている内容としては、次のようなものがあります。
- 会社の住所
- 共通のメール署名
- 標準的な免責事項
- サポート用の定型返信
- 社内共通の会議URL
- 商品やサービスの説明文
新しい共有Snippetを作成する
デスクトップ版では、Snippetを新規作成するときに「Share with team」をオンにします。
オンにした状態で保存すると、個人用ではなくチーム共有のSnippetとして登録されます。
個人用Snippetをチーム共有に変更する
デスクトップ版では、個人用Snippetの横にある「Share with team」アイコンをクリックします。
iOSでは、個人用Snippetを長押しして「Move to team dictionary」を選択します。
共有済みの項目を表示しているタブでは、この移動オプションは表示されません。
共有Snippetを見分ける
デスクトップ版の「All」タブでは、チーム共有のSnippetに共有アイコンが表示されます。
これにより、個人用とチーム用を区別できます。
個人用とチーム用で同じトリガーがある場合
個人用Snippetとチーム共有Snippetに同じトリガーが登録されている場合は、個人用Snippetが優先されます。
たとえば、チーム共有で「マイ署名」が登録されていても、自分の個人用Snippetに同じ「マイ署名」があれば、個人用の内容が挿入されます。
個人ごとに署名や連絡先を変更したい場合に便利な仕組みです。
一方で、意図しない文章が展開される原因にもなるため、個人用とチーム用では、できるだけ異なるトリガーを使用するのがおすすめです。
JSONでSnippetをまとめて登録する
Mac・Windows版では、JSONファイルを使って大量のSnippetを一括登録できます。
最大1,000件までまとめてインポートできます。
Bulk Importを有効にする
最初に、実験的機能から一括インポートを有効にします。
- 「Settings」を開く
- 「Experimental」を開く
- 「Bulk Import」を有効にする
JSONファイルをインポートする
- 「Snippets」を開く
- 「Import」をクリックする
- JSONファイルを選択する
- インポート内容を確認する
- 問題がなければインポートを実行する
対応するJSONファイルは3MB未満で、最大1,000件までです。
JSONは、次のような配列形式で作成します。
[
{
"name": "マイメール署名",
"text": "Hoda\nWeb: https://example.com\nEmail: contact@example.com"
},
{
"name": "ミーティングリンク",
"text": "オンラインミーティングはこちらからご参加ください。\nhttps://example.com/meeting"
}
]
「name」にはトリガーフレーズを指定し、「text」には挿入する文章を指定します。
インポート時にスキップされる項目
次のような項目は、自動的にスキップされます。
- 空の項目
- 形式が正しくない項目
- 既存のSnippetと重複している項目
- Dictionaryに登録されている単語と重複する項目
重複判定では、大文字と小文字は区別されません。
インポート前のプレビュー画面では、スキップされた項目数を確認できます。
すべての項目が重複している場合は、Importボタンの代わりに警告と「Done」ボタンが表示されます。
個人用とチーム用のインポート先
インポート先は、Importボタンを押した時点で開いているタブに応じて自動選択されます。
PersonalタブからImportを開いた場合は、個人用として設定されます。
Shared with teamタブからImportを開いた場合は、「Share with team」があらかじめオンになります。
TeamまたはBusinessプランでは、インポート画面の「Share with team」を切り替えることで、チーム用ライブラリへ直接登録できます。
SnippetsとDictionaryの違い
Wispr Flowには、Snippetsとは別にDictionary機能があります。
どちらも音声入力の結果を変更する機能ですが、目的は異なります。
| 項目 | Snippets | Dictionary |
|---|---|---|
| 主な目的 | 定型文を挿入する | 単語の認識や表記を修正する |
| 入力 | 登録したトリガーフレーズ | Flowが間違えやすい単語 |
| 出力 | 複数行や複数文も可能 | 通常は単語や短いフレーズ |
| 使用例 | 「マイ署名」から署名全体を挿入 | 「カジャビ」を「Kajabi」に修正 |
たとえば、メール署名全体を呼び出したい場合はSnippetsを使用します。
一方、サービス名や人名などの誤変換を直したい場合はDictionaryを使用します。
同じ単語を両方に登録する際の注意
同じ単語をSnippetのトリガーとDictionaryの項目として登録できる場合があります。
ただし、動作が予測しにくくなる可能性があるため、SnippetsとDictionaryでは異なる単語を使用することが推奨されています。
たとえば、「Kajabi」をDictionaryに登録している場合、Snippetのトリガーには「Kajabiの紹介文」のような、より具体的なフレーズを設定すると安全です。
効果的なトリガーを作るコツ
一般的すぎる言葉を避ける
「ありがとう」「住所」「リンク」のような一般的な言葉をトリガーにすると、通常の会話中に誤って実行される可能性があります。
次のように、具体的なフレーズにするのがおすすめです。
ありがとう
ではなく、
カスタマーサポート返信
と設定します。
同様に、
住所
ではなく、
マイホームアドレス
のように設定します。
用途が分かる名前にする
トリガーを見ただけで、何が展開されるのか分かるようにします。
たとえば、単に「リンク」とするよりも、次のように設定した方が管理しやすくなります。
ズームミーティングリンク
予約ページリンク
商品紹介リンク
似たトリガーを作らない
「マイアドレス」と「マイメールアドレス」のように似たフレーズを複数登録すると、意図しないSnippetが実行される場合があります。
次のように明確に分けると、誤作動を防ぎやすくなります。
ホームアドレス
ワークメールアドレス
作成後に実際の文章でテストする
Snippetを保存したら、トリガーだけを話すのではなく、実際の文章の中で正常に実行されるか確認します。
トリガーが別の単語の一部として認識されていないか、句読点によって動作しなくなっていないかも確認しましょう。
定期的に内容を見直す
次のような情報は変更される可能性があります。
- 電話番号
- 住所
- メールアドレス
- 会議URL
- 商品価格
- キャンペーン内容
- 担当者名
古い情報をそのまま入力しないように、定期的にSnippetの内容を確認することが大切です。
Snippetが実行されない場合
登録したSnippetが動作しない場合は、次の点を確認します。
- Snippets一覧でトリガーの正確な表記を確認する
- トリガーフレーズを最後まで明確に話す
- 文章の途中では、トリガーの前後に不自然な記号がないか確認する
- Wispr Flowを再起動する
- もう一度音声入力を試す
トリガーが一般的すぎたり、別のフレーズに似すぎていたりする場合もあります。
間違ったSnippetが実行される場合
意図していないSnippetが実行される場合は、複数のトリガーが似ている可能性があります。
たとえば、次の2つは混同される可能性があります。
マイアドレス
マイメールアドレス
次のように、より違いが明確なトリガーへ変更します。
ホームアドレス
ワークメールアドレス
意図せずSnippetが実行される場合
通常の会話でも頻繁に使う言葉をトリガーにすると、意図しない場面で文章が展開されることがあります。
たとえば、「ありがとう」や「リンク」といった単語は日常的に使用するため、トリガーには向いていません。
普段は自然に話さない、Snippet専用のフレーズに変更しましょう。
Snippetがほかの端末に同期されない場合
Snippetは、同じWispr Flowアカウントを使用している端末間で同期されます。
同期されない場合は、次の点を確認します。
- 両方の端末で同じアカウントにログインしているか確認する
- 少し待ってから再度確認する
- デスクトップ版のSnippetsページで「Refresh」をクリックする
- もう一方の端末でログアウトする
- 同じアカウントで再度ログインする
デスクトップ版では、Refreshボタンにカーソルを合わせると、最後に同期された時刻を確認できます。
日付などの変数は使用できる?
Snippetsでは、今日の日付やユーザー名などを自動挿入する動的変数には対応していません。
登録した文章が、そのまま静的なテキストとして挿入されます。
たとえば、次のような変数を登録しても、自動的に現在の日付へ変換されるわけではありません。
{{today}}
日付を含むSnippetを使う場合は、使用前に登録内容を手動で変更する必要があります。
まとめ
Wispr FlowのSnippetsは、よく使う文章を音声だけで呼び出せる定型文機能です。
メール署名、住所、ミーティングURL、問い合わせ返信などを登録しておけば、同じ文章を繰り返し入力する必要がなくなります。
基本的な使い方は、次のとおりです。
- 呼び出し用のトリガーを登録する
- 挿入したい文章を登録する
- 音声入力中にトリガーを話す
- トリガーが登録した文章へ置き換わる
チームプランでは、会社の住所や共通の免責事項などを、組織全体で共有することもできます。
Dictionaryが単語の誤認識を修正する機能であるのに対し、Snippetsは複数行を含む定型文を挿入する機能です。
日常的に何度も入力している文章がある場合は、Snippetsへ登録することで、Wispr Flowをより効率的に活用できるでしょう。






